Shockzの”骨伝導”イヤフォン
昨年末からランニングで骨伝導イヤフォンを使っている。最初はカナル型のイヤフォン(MDR-EX31BN, SONY)を使っていたが、環境音が聞こえないのに危険を感じて、耳を塞がないものに変えた。選ぶ過程では耳を塞がないオープンイヤー型ヘッドセット(SBH82D, SONY)が候補だったが、走るとネックバンドが踊るのでやめ。骨伝導イヤフォンがいいよと聞いて試してみた。骨伝導といえば、昔の骨伝導式電話機のイメージが強かった。遠くでキンキンと高音が響くような鳴り方だったと思う。音楽に使えるイメージはなかった。それと比べると最近の骨伝導イヤホンはかなり良くなっている。低音は出ないが、中音域は自然。高音が響きすぎることもない。ヘッドバンド式のAftershockz(現shockz)か完全ワイヤレスのBocoかでAftershockz、AEROPEXかOPENMOVEかで、AEROPEXにした。メーカーがいう音質差はあまり感じなかったが、AEROPEXの方がめがねのツルとの干渉が少ないと感じたからだ。
実際使ってみて音質的には安いインナーイヤーイヤフォン相当という印象だった。低音は出ない。耳孔を塞ぐと低音が強くなる。いや、中高音が遮られて低音だけ届くようになるように思う。骨伝導だけで音を伝えていれば、耳孔を開けようが塞ごうがおおむね同じように聞こえるはずだが、実際にはかなり大きな違いが出る。なぜそうなるか考えてみると、骨伝導だけで音を伝えているのではなく、空気伝導で鼓膜から入ってくる音の寄与が大きいからではないか。
これを確かめるにはドライバを皮膚から離してみればよい。中音域は少し抜けるが音量に大差はない。抜けた中音域が骨伝導で伝わっていた成分で、その他の音域は空気伝導で伝わっているのだろう。ドライバを耳孔に近づけるほど空気伝導の比率が高くなり、普通のインナーイヤーヘッドフォンに近い音質になっていく。耳孔に直接当ててみると結構な大音量を感じるとともに、中音域が強調されていることがわかる。骨伝導で伝わっている中音域も直接空気伝導するようになるからだろう。
この実験から、骨伝導で伝わっている音はごく一部のみ、大半は空気伝導で伝わっていることがわかる。一部骨伝導を利用しているが、実質的にソニーのオープンイヤー型ヘッドセットとかわらないと考える。
以前からドライバを当てる位置によって音質が大きく変わることをは体感していたが、側頭骨に当てるより下顎骨に当てる方がよく聞こえることに矛盾を感じていた。下顎骨と聴器の間には下顎関節が挟まっており音の伝播が良いとは思えない。骨伝導の原理を考えるに外耳孔(耳の穴)の前(腹側)にある顎関節のさらに前、頬骨弓に当てる方が伝播の効率が良い。しかし実際は逆だ。当てる場所を頬骨弓から下顎骨に変えて骨伝導の伝播効率が下がるよりも、耳孔に近づくことによる空気伝導の増加の方が効いている。

併用しているMDR-EX31BNは発売後8年経過している。スマホに電池残量が伝わらないなど古さを感じることもあるが、密閉型で遮音性が高く、完全ワイヤレスと違って片方なくす心配がないのは良い。
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