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Apr 10, 2015

CVTは登録車には向いていないのではないか

およそ2年、CVTのコンパクトカーに乗った結論がこれ。途中、二ヶ月ほど代車で乗った軽自動車と比べると、コンパクトカーではデメリットを感じることが多かった。CVTは軽自動車でこそ利点が生きるが、排気量1Lを越す登録車ではむしろ欠点が目立つように思う。

軽自動車ではCVTの違和感を感じない

定常運転時の回転数が低いコンパクトカー

遠いパワーバンド、遅い変速

エンジン特性がCVTに合っていた初代フィット

反応の遅れが不快感のもと

軽自動車ではCVTの違和感を感じない

 代車で借りたN box+では、CVTのフィーリングの悪さの中核をなすアクセル操作に対する加速の遅れをあまり感じなかった。

遊手好閑; N box + customを借りた(Mar 30, 2014)

 軽自動車は登録車と比べて巡航時の回転数が高めになる。フィットでは60km程度までは1,000回転ほどを維持しようとするが、N boxは同じ速度域でも2,000回転を超える。(NAモデル)

S07a 巡航時のエンジン回転数において、どれくらいのトルクが出ているか調べてみた。N box+のS07Aエンジンの性能曲線を見ると、2,000回転時のトルクは60Nmで、最大トルクの90%が発生している。巡航時に十分トルクが出る回転数に達しているので、アクセルペダルを踏めば素直に加速していく。まず回転数を上げてから遅れて加速するような挙動は見られない。アクセルペダルの操作に対する加速レスポンスが良好だ。


定常運転時の回転数が低いコンパクトカー

13l_ivtec 同様にフィットも調べてみたが、13Gに搭載されているL13A(i-VTEC)エンジンは、1,000回転でのトルクは100Nm以下で最大トルクの79%以下しか出ていない。この回転数でじわりとアクセルペダルを踏んでやると、ゆっくりと加速をはじめる。トルクが薄い領域で加速を強いているので、エンジン回転数の上昇が遅く加速度も低い。これだと交通の流れについていくのが厳しい。郊外の片側二車線以上の道路だと前車との車間がどんどん開く。流れについて行こうとすると、意識して深めにアクセルを踏む必要がある。ペダル操作に車速がついてくる感覚に乏しく、思った通りに加速しないな、という印象が残る。


遠いパワーバンド、遅い変速

 フィットがなぜこんな設定になっているのかを考えるに、巡航時のエンジン回転数をできるだけ低くしてガソリン消費を抑えたいからだろう。軽自動車と比べて排気量が多いので、同じ回転数まで回したら燃費は悪くなる。総合減速比を計算すると、比較的ハイギアードな設定だ。(その結果、駆動トルクが不足する発進時はトルコンをたっぷり滑らせる)
 できるだけエンジン回転数を抑える方向で制御しているため、トルクが薄い領域で巡航しており、アクセルを踏んでも低い加速度しか得られない。十分な加速度を得るにはトルクが太い領域、いわゆる、「パワーバンド」まで回転数を上げる必要がある。アクセルが踏み込まれるとまずエンジンの回転数が上がり、次いでトランスミッションが減速比を上げて加速をはじめる。エンジン回転数は一定のまま徐々に減速比を下げて加速してゆく。このときCVTの変速速度が車速加速度の律速になっている。加速をはじめるまでの挙動はATのキックダウンと同じだが、CVTは減速比が無段ゆえに素早い変速ができず、アクセル操作へのレスポンスが遅れる。ここで、いわゆるラバーバンドフィールが現れる。
 

エンジン特性がCVTに合っていた初代フィット

13l_idsi こうしてみると、2,800回転で最大トルクを発生する初代フィットのi-DSAエンジンの方がCVTとのマッチングが良かったと思う。ホンダとしては、i-VTECの2,000回転でのトルクはi-DSAを上回っているからいいじゃねえか、ということなのだろうが、3,000回転も回しておけば全力加速できるエンジンか、4,800回転まで回す必要があるかでは、CVTに求められる変速速度が随分違う。CVTは素早く変速できるトランスミッションではないので、エンジン回転数の変動幅が狭い方が欠点が露呈しにくい。遊星歯車式の二速副変速機を追加したCVTが出てきているが、これはレシオカバレッジの拡大だけでなく歯車変速機によってキックダウン時のレスポンスを稼ぐ狙いがある。

反応の遅れが不快感のもと

 機械を操作するにあたって、初手から必要な結果を得るための適切な入力ができるのがベストなのだが、それにはよほどの習熟が必要だ。その道の達人ならともかく、普通は操作に対する結果を感じ取って操作を修正している。すなわち、フィードバック制御を無意識に行っている。このときオペレータは操作に対する結果を予想して反応が帰ってくるのを待っているが、機械のレスポンスが遅いと結果を受けとる前に次ぎの操作を入力してしまい、フィードバックのループが崩れてしまう。こういう時に、「乗りにくい」「気持ち悪い」という感覚を覚えるのだろう。
 電気自動車は運転していて楽しい、乗りやすいと言われるが、これは回転数0で最大トルクを発生する電気モーターの特性が大きく影響している。アクセル操作に対して即座にクルマが反応することが、人車一体感などと形容される気持ちよさを生んでいる。CVTと高回転型エンジンの組み合わせはこれと対極だ。日本車はなぜにこれをよしとしてしまったのだろう。

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